論説で日野川の今を考える

2012.1.9

日野川サケ遡上「河川“野生回帰”の象徴に」と題して、

 

福井新聞の平成24年1月9日の論説記事が掲載されました。

以下に、内容を転記いたします。

生物多様性で清流の日野川に。。。

流域団体と産学官の共同活動によってその成果が見え始めました。

人と川とのいい関係。

これからの活動の励みになります。

 

 

***(以下、福井新聞HPより論説を転記)***

日野川サケ遡上 河川“野生回帰”の象徴に
(2012年1月9日午前11時43分)
 福井県越前市瓜生町付近の日野川で昨年11月、サケの遡上(そじょう)が確認された。日野川漁業協同組合の記録によると、産卵のため戻ってきた成魚の個体確認は、1950年以来、実に61年ぶりという。清流を取り戻す官民挙げた活動が目に見える果実となった。サケ遡上を日野川“野生回帰”の象徴と位置付け、取り組みに一層弾みをつけたい。
 多くの河川は現在、氾濫を防ぐための改修で流れが均一化されたほか、ダムや頭首工など生活利用、農業利用で水量が減った。このため河原に土砂がたまり水生生物が激減、河川内に草木が茂る樹林化も進んでいる。魚や昆虫には迷惑な生息環境の劣悪化だ。
 こうした現況を改善しようと、鯖江市、越前市、南越前町にまたがる環境団体と漁協、行政で2000年から日野川流域交流会5 件を組織し、樹林の伐採などを行ってきた。また、日野川に砂礫(されき)河原をとりもどす会は、土砂がたまってできた州を砂礫に戻す実証実験にも取り組んでいる。
 砂礫河原では丸石や砂利などの隙間に水生生物が暮らしたり、魚が産卵しやすくなるという。県の河川環境整備の一環として行われる実証実験では、日野川の州に延長約500メートルの水路を掘り、増水時、川の水が本流から水路に流れ込んで州を削る。本流と水路が州を挟み効果的に土砂を洗う仕組みだ。昨年4月から1年間、州の面積変化や砂礫状態、生育植物などを調べ、効果が確認できれば別の場所でも活用するという。
 このほか、サケ遡上との直接の因果関係はまだ定かでないが、鯖江市の石田橋付近での魚道整備など、日野川の在りし日の姿を取り戻そうという具体的な行動を伴った熱意が呼び水になったのは間違いない。
 日野川では、川遊びを通じ生き物を育む川の役割を知ってもらおうと、関心を喚起するイベントが行われているが、ことしはさらに機運が高まるのではなかろうか。越前市国高小などは遡上を新聞で知って以降、特徴などを学習し、日野川の様子を見にわざわざ出掛けた学級もあると聞いた。自然環境を考える格好の教材にもなったわけで、大型回遊魚遡上のインパクトはやはり強烈だ。
 日野川漁協は、そんな児童らにサケの受精卵を贈った。児童は家庭で日々観察し、ふ化から稚魚へと成長していく自然の営みと向き合う。稚魚は日野川に放流され、オホーツク海で成魚となった後、数年後には故郷の川に戻ってくるかもしれない。
 国交省によると、国が管理する全国165河川の10年水質ランキングで、日野川は135位とまだ下位にいる。水の汚れを示す生物化学的酸素要求量(BOD)の年間平均値は1・2ミリグラムあった。放ったサケが戻ってくるまでに、こうした数値を少しでも改善しておくことが、これから急ぐべき命題であることは明らかだろう。
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カテゴリー: サケの成長日記 パーマリンク

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